衝突安全性要件のためかフロントにトランクは設定されない

ただし、半世紀前よりもずっと厳しくなった衝突安全要件を満たすためなのか、脱着式のカウルを開けてフロントフード下を覗き込むと、トランクどころか簡易な物入れさえもなく、バッテリーやクーラント注入口が顔を除かせるだけでした。

あくまでも安全確保のためのクラッシャブルゾーンだということはわかりますが、できれば通常のヒンジ式フードにして、工具やぞうきんなどの汚れ物を入れる小物入れくらいは作って欲しかったところです。

また、スマートでは後部ドアにも前ドアと同様にグリップタイプのドアハンドルが取付けられているのに対し、トゥインゴのリアドアはフラップタイプのドアハンドルがピラーに隠されているところに違いがあります。

おそらくはクーペのようなスタイリッシュなルックスを演出しようとの、デザイナーの意図なのでしょう。

使い勝手という点ではスマートに一歩劣りますが、もともとAセグメント車のリアシートはエマージェンシー用で、普段はふたり乗りとして使うことがほとんどのようですから、これはこれで良いのかも知れません。

実際、トゥインゴも前席の居住性に重点が置かれた設計がされており、後部座席はミニマムで、長時間乗車にはとても耐えられないオマケ程度のものがつくだけです。

ただ、そうなると後部座席のアクセス性を良くしたところでメリットがほとんどないので、なぜ5ドアにしたのか疑問が残るところです。

フランス車らしからぬシート

運転席に身体を収めてまず気がついたのは、シートの退化と着座位置の高さです。
フランス車と言えば、クッションたっぷりの座り心地の良いシート・・・のハズが、新型トゥインゴのシートはクッションが薄く、平板で、国産軽自動車のそれを思い出してしまうくらい質の低いものが備わっていました。

おそらくはスマートと共用化している2階建てフロア（スマートは伝統的に側面衝突対策でフロアを2重にしています）のため、着座位置が高くなったのをシートクッションの厚みを薄くすることで手当てしているのでしょう（それでも着座位置は一般的なAセグ車よりも高かったのですが・・・）。

ですが、シートレールの高さには若干余裕があったので、バケットシート装着時に使用するような薄いシートレールを用いれば、もう少しクッションの厚みを取れるハズです。
ドイツ流の骨格のしっかりしたシートでも、フランス流のクッションたっぷりのシートでもなく、かつての日本車が使っていたような、無国籍風の安物シートには正直ガッカリしました。
この点はフランス車の美点を損なっているわけですから改善してほしいところです。

右ハンドル化による弊害

運転環境で言えば、ステアリングのオフセットはわずかですので、すれすれ許容範囲なのですが、ブレーキペダルはそのステアリングよりも右側に置かれており、極端に言えば身体をねじった姿勢で運転することになります。

おそらく、本国で売られている左ハンドルのトゥインゴならこうした不始末はないはずです。

「日本で運転するなら右ハンドルが良い」という声を最近よく聞きますが、左ハンドルのクルマを右ハンドルに作り直すには、それなりにコストが掛かります。
右ハンドル圏で確固たる市場を持つVWやメルセデスベンツのようなメーカーなら、設計時から対策を取ることもできるのでしょうが、それ以外のメーカーだとこのような右ハンドル化による弊害が起こりがちです。
とくにトゥインゴのようなコンパクトカーは、スペース的な余裕がないため、右ハンドル化によるしわ寄せが起こりやすいのです。

日本車にはない乗り味を求めて輸入車を購入しようというのにこれでは価値半減です。
操作環境を考えれば、やはり輸入車は生産国で販売されている仕様に近いものを買うべきなのではないでしょうか？　

ルノー・ジャポンにはできれば左ハンドルを、せめて左右どちらのハンドルを選べるようにして欲しいですし、ユーザーも脊髄反射で「右ハンドルがいい」などと言わずに、左右どちらのハンドルでも運転できるように運転技術を養っておくべきだと思います（左ハンドルの運転は３日もあれば誰でも慣れます）。

その他の主な内外装

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