さて、ジープラングラーの内装は冒頭からこんな事を言うのもどうかとは思いますが、もしジープの購入を検討するのであれば質感とかデザインに商品性を期待する物ではないという事が前提でしょう。
元々が軍用車のため、極端な話ごく初期のモデルはプレス鋼板の計器パネルにメーター類やスイッチ類が埋め込まれていただけでした。
とはいえ民生モデルが発売されて60年以上、ジープと言えども最低限の快適性と対候性を供えた物となっています。
それでは内装を見ていきましょう。
かつてはフルオープンが当たり前だったジープも今やがっしりとしたスチール製ドアが付いています。
ドアトリムは黒一色の無機質な物ですが、用途を考えれば汚れたら水でジャブジャブ洗えるという点でこれが正解だと思います。
ちなみにスカッフプレートはディーラーオプションで選択可能です。
ただし、ルーフはデタッチャブル式という形で取り外し可能、ジープといえばオープンエアという伝統は今も健在です。
トリムの形状が大雑把で、一部鉄板むき出しの部分があるのがある意味、アメリカン(?)な感じもしますが、そもそもこのクルマはそこにプレミアを見出すクルマではないので、ジープとしては合理的な割り切り方という点で正解なのかもしれません。
インパネ周りは意外や(?)筆者好みのT型スポークに丸型の独立メーターというまるでスポーツカーのようなレイアウトとデザイン。
確かにジープもスポーツカーも走るフィールドこそ違えど、走行性能が全てのクルマなのである意味必然なのかもしれません。
勿論スポーツカー同様視認性に優れ、スイッチ・レバー類はすぐ手に届くところにあります。
Cピラーのアシストグリップを握りシートに乗りこめば、これから冒険に旅立つような気分にでもなりそうです。
リアドアは開口部こそ小さいですが、リアシートの広さは他のSUVの追従を許さない部分があります。
外見こそ無骨で無機質ですがその分ルーフも高く窓ガラスもまっすぐ立っているのでヘッドスペースは十分です。
むしろ、体格の大きなアメリカ人基準なので日本人には十分すぎるくらいかもしれません。
まるでロングホールベースセダンのように足を延ばすこともできます。
SUVといえどもドアのキャッチが車内から見えるというのもあり得ない話ですが、これがユーザーに受け入れられるクルマというのは世界広しと言えどもジープだけでしょう。余談ですがまるで自動車というより遊園地のライドに乗っているような気分になりました。
頭上を這っている黒い支柱のようなものはロールケージ、やはりジープはオープンボディで走る事が前提であることを意識させます。ちなみに公道では不可ですが、クローズドのフィールドではドアを外して完全なフルオープンでクロスカントリーやクローリングにアタックできるそうです。
ある意味、特筆すべきはWエアコンも搭載されていた事でしょうか。
ジープはただ質実剛健なSUVというだけではありません。そもそも、アメリカ自体がアリゾナの灼熱の砂漠もあればアラスカのような酷寒の地もあり、南米には熱帯雨林もあるため、当然そういったあらゆる条件下で快適に乗れるクルマでなければならないということでもあるのでしょう。
最近では、高級車メーカーやスーパーカーメーカーまでSUV市場に参入、SUV車にもラグジュアリーなデザインや内装でプレミアムが求められる中ここまで割り切ったデザインと内装でいる事が正義でいられるのはもはやジープだけでしょう。
むしろ必要な物は何もない事がジープのプレミアムでさえあるように思えます。
改めてジープを見ていると最近のとりあえずSUVというマーケティングと、畑違いのブランドがSUVに手を出してなんでも詰め込んで、本来のオフローダーからかけ離れた物になっていくのも随分考え物だなと思わされます。
そういう意味でもジープというブランドは稀有な存在のブランドかもしれません。
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